
休日にぼーっとテレビを眺めていたら、
所さんの目がテン!の再放送を見ていると面白い企画に当たりました。
第1274回放送の桝アナウンサーの持ち込み企画「桝太一の生き物バンザイ」の生き物の模様の不思議についてです。
この放送の中に、チューリングという言葉が出てきたので、まさか!と思ってみてたらアラン・チューリングだったので詳しく調べてみました。
表紙の画像は、縞模様のタテジマキンチャクダイと呼ばれる魚です。他にも、シマウマやヒョウ・キリンなど模様のついた生き物は挙げればキリがないぐらいにいます。
これらの模様はどのようにしてできるのか??所さんの目がテン!の内容を主に紹介していきたいと思います。
はじめに
まずは、生物の色々な模様を紹介します。
シマウマの縞模様
シマウマの模様は、肉食のライオンなどに見つかりやすいと疑問に思うと思います。
シマウマが集団でいると縞と縞が重なって、ライオンなどには巨大なお化けのように見えるから襲われにくいといわれています。
ヒョウの斑点模様
キリンの網目模様
これらパチスロやっている人なら悶絶の瞬間ですね(笑)
挙げだせばきりがないぐらい自然界には様々な模様があります。これらを見ていると、複雑な模様をしており、遺伝子だったり環境だったりと様々な要因が複雑に絡み合ってできた模様のようにさえ思えます。
しかし、
『チューリングの理論』では、これらの模様は遺伝子に組み込まれた設計図に基づいてできるのではなく、あるルールに従って自動的にできる。
と言っているのです。
科学雑誌「Nature」の表紙を飾る
コンピュータの基礎となるマシンを考案したイギリスの天才数学者アラン・チューリング。
彼は60年前に生物の模様に関する仮説を数式で残しました。この数式で生き物のほぼ全ての模様が表せるのですが、あくまで数学的な仮説で実際に生物に起こっているかどうかは証明されていませんでした。
それを大阪大学大学院生命機能研究科パターン形成研究室の近藤滋教授が1995年、35歳の時に理論通りに魚の模様が出来ることを突き止め、実証しました。
『タテジマキンチャクダイ』という魚を飼って、魚の縞模様がどのように変化するのか観察を続けて、縞の増え方・模様の動き方がの理論にぴったりと当てはまっていました。
『チューリングの理論』魚の模様は遺伝子に組み込まれた設計図に基づいてできるのではなく、あるルールに従って自動的にできる。
この論文は世界的科学雑誌「Nature」の表紙を飾るほど生物学界に大きな衝撃を与えました。
「たとえば神経細胞同士の情報伝達や細胞間コミュニケーションといった細胞間の反応や化学反応などによって周期的な振動が起こり、それがまわりに伝われば波がおきるのです」
彼は“2つの物質がある条件のもとで、反応し合いながら広がるとき、そこに物質の濃淡の波ができ、その波が生物の形や模様をつくりだす”と述べ、それを「反応拡散系」という原理にまとめて数式で表した。
「この数式でつくり出される模様は『チューリング・パターン』と呼ばれますが、コンピュータ・シミュレーションで描き出すと、動物の模様にそっくりな縞模様が出現するのです。」
簡単にチューリングパターンは、2つの物質に拡散する性質とお互いの濃度をコントロールする性質がある場合に複雑な模様が自発的に形成されるというものです。
アラン・チューリングとは?
アラン・チューリングってどんな人物かを簡単に紹介します。
「人工知能の父」などと呼ばれるように、コンピューターに深く関わっているのがわかります。
しかし、晩年は数理生物学、特に形態形成について研究をしておりフィボナッチ数などについても論文を出してます。その中に反応拡散方程式があります。
チューリングは論文の中で、反応拡散波が皮膚の模様形式だけでなく、「形態形成全般にはたらく基本的なメカニズム」であろうと述べています。
\(\frac{∂u}{∂t}=f(u,v)+D_u▽^2u,\)
\(\frac{∂v}{∂t}=g(u,v)+D_v▽^2v\)
ただし\(u≡u(r,t),v≡v(r,t)\)でf,gは反応項、Dは拡散系、▽^2はラプラシアン。
この方程式を理解するには、それなりの知識が必要です。最もわかりやすく解説されているページがあったので、紹介します。高校数学レベルに落とし込んで解説してくれています。
所さんの目がテン!
最後に所さんの目がテン!の実験を紹介しています。
『目がテン大実験!オセロで生き物の模様を作ってみよう!』
最初に正六角形のマス目、10000マスが書かれたシートを用意。そして10000個のオセロの石。オセロの石を白と黒の色素細胞に見立てまずはランダムに配置します。
これから「2つのルール」でオセロを動かすと模様ができるか?を実験します。近藤研究室の研究を元に2つのルールを設定します。
中心のオセロに対して、周りが4つ以上異なる色に囲まれたら真ん中のオセロはひっくり返す。
<2つ目のルール>
同じ色の石が周囲2周集まると、中心の石をひっくり返す。
この2つのルールで1万個のオセロの石を動かします!
それでは、スタート!!
1ターン目終了。変化はありましたが、まだ何かわかりずらいです。
2ターン目以降も同じように2つのルールに従ってひっくり返しを行います。
この辺になってくると、模様がわかるようになってきます。
終了しました!!
この模様何かわかりますか??
答えは
ヘビの模様でした!!
今回は1万個のオセロを使いましたが、生物の色素細胞はこれの何万倍もの数がありもっと繊細で綺麗な模様ができることになるそうです。
ちなみにオセロ実験の2つのルールの条件を少し変えると、さまざまな模様ができるそうです。
「周りが4つ以上異なる色に囲まれたら真ん中のオセロはひっくり返す」→「周りが3つ以上異なる色に囲まれたら真ん中のオセロはひっくり返す」
こちらは、2つのルールの条件を変えてできるさまざまな模様を一つにまとめたものです。『チューリングパターン』とも呼ばれています。
フグ:黒ベースに白の点々模様。
チーター:白に黒の点々模様
サバ:迷路模様
自然界には様々な模様がありますが、これらの複雑な模様は遺伝子だったり環境だったりと様々な要因が複雑に絡み合ってできた模様ではなく、
たった2つのルールからできていたことが実験からわかりました!!
まとめ
単純で明快なものほど美しいと僕は思っています。
生物の模様も環境だったり、DNAだったり、長年の複雑に絡みあってできていると思うとものすごく難しくなりますが、
チューリング・パターンに落とし込めば模様が形成されることが、誰でも明快にわかります。
正直、シマウマの模様は巨大なお化けに見えるって言われてもあんまりピンとこなくて、後からこじつけてるだけじゃないのか??って思ってたけど今回の企画で納得できました!!
しばらくの間は、あれもチューリングパターンやな、ってなりそう(笑)