ヒットかフォアボールか??
ある野球の試合で、9回裏2アウト満塁、スコアは3-3という状況であった。
こちらのバッターは打率3割3分3厘の強打者!
一打出ればサヨナラ勝ちとなる絶好のチャンス。
しかし、記録員があることに気付いた。
ここで、攻撃側の監督は、
- バッターに打ちに行く指示を出すか、
- すべてのボールを見逃して押し出しのフォアボールを狙う指示を出すか
どちらの策が確率的に賢明だろうか??
解説
ヒットの確率
バッターがヒットを打つ確率は3割3分3厘なので、33%
フォアボールの確率
すべて見逃せば、三振かフォアボールに必ずなる。
フォアボールの確率=1-三振の確率
なので、まず三振の確率を求める。三振となる場合は
- 三球三振
- ボールが1回
- ボールが2回
- ボールが3回
の4つある。
ピッチャーのストライクの確率
\(\Large{\frac{1}{2}}\)
ピッチャーのボールの確率
\(\Large{\frac{1}{2}}\)
三振の確率
Ⓢ:ストライク Ⓑ:ボール
Ⅰ.三球三振の場合
ⓈⓈⓈの1通り。確率の乗法定理を使用。
\(1×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}=\frac{1}{8}\)
Ⅱ.ボールが1個の場合
- ⒷⓈⓈⓈ
- ⓈⒷⓈⓈ
- ⓈⓈⒷⓈ
の3通り。確率の乗法定理。
\(3×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}=\frac{3}{16}\)
Ⅲ.ボールが2個の場合
- ⒷⒷⓈⓈⓈ
- ⒷⓈⒷⓈⓈ
- ⒷⓈⓈⒷⓈ
- ⓈⒷⒷⓈⓈ
- ⓈⒷⓈⒷⓈ
- ⓈⓈⒷⒷⓈ
の6通り。確率の乗法定理。
\(6×(\frac{1}{2})^5=\frac{6}{32}=\frac{3}{16}\)
Ⅳ.ボールが3個の場合
\(10×(\frac{1}{2})^6=\frac{10}{64}=\frac{5}{32}\)
三振の確率は
- 三球三振
- ボールが1回
- ボールが2回
- ボールが3回
を足したもの(確率の加法定理)であるので、
\(\frac{1}{8}+\frac{3}{16}+\frac{3}{16}+\frac{5}{32}=\frac{21}{32}\)
となる。
\(\frac{21}{32}≒0.656\)
となり、三振の確率は約65.6%となる。
よってフォアボールの確率は、
100%ー65.6%=約34.4%
3割3分3厘の強打者がヒットを打つ確率より、フォアボールのほうが確率的には賢明であるといえる。
この問題を実際に考察!
強打者の人が相手のピッチャーのストライク率が悪いからという理由で、初めからフォアボール狙いをすることはないと思います。
そこで問題のような荒れ球のピッチャーの場合は、
- 明らかにストライクゾーンの場合は、スイングする。
- きわどいボールは振らないと決めつける。
なぜなら問題のピッチャーの場合、初球がⒷの場合、2球目もⒷの場合
Ⓑになれば、五分五分の勝負。
ⒷⒷになれば、バッターが圧倒的に優位。
このような状況になる可能性があるので、積極的に打ちにいけ!!っていうよりも、待て!っていうほうがいいように思えます。
しかし、バッターは2ストライクに追い込まれると打率がグッと下がる。パワプロでも、ミート枠が狭くなると思います(笑)この緊張した場面には尚更であるといえる。(中には化け物もいるが・・)
そこで、初球勝負です!!
明らかにストライクの甘い球はスイングする。
厳しいコースやきわどい球は見送る。
初球ストライクを取られたら、積極的に打ちにいくように切り換え、ボールならフォアボールを視野に入れる。
この方法が一番勝ちやすい方法かなと思います。
実際には??
しかしながら、スポーツは確率の問題ではない。
試合の流れだったりと様々な要因が絡んできて、結局は直感力が大切!
確率という数字的根拠を基本におきながら、野性的な直感を大切するような選手が本当に強い選手と感じます!